デンゼル・ワシントン、ジェームズ・アール・ジョーンズを追悼
デンゼル・ワシントンは93歳で亡くなった故ジェームズ・アール・ジョーンズに敬意を表している。
ワシントンは「彼は私のヒーローだ」とVarietyに語った。
ワシントンの大学での演劇キャリアは、ジョーンズ主演の『皇帝ジョーンズ』および『オセロ』に触発されて始まったという。
ジョーンズは1971年にユージン・オニールの戯曲『皇帝ジョーンズ』の舞台化作品に出演し、1964年にはジョセフ・パップのニューヨーク・シェイクスピア・フェスティバルおよびその後のオフブロードウェイで『オセロ』の主役を務めた。
映画、テレビ、舞台で大きな存在感を示すジョーンズは、何よりもその独特な低音の声で知られていた。
それは『スター・ウォーズ』シリーズの悪役ダース・ベイダーやアニメ『ライオン・キング』のムファサ王の役で発揮された。
ワシントンは続けて
「彼ほど大きな存在にはなれないつもりだった。彼のような声を持ちたかった。
彼は駆け出しの俳優だった頃の私にとって全てだった。
彼になりたかった」
と語った。
1998年のインタビューでワシントンは、「真剣な黒人俳優というものがあまりいなかった。
模範にし、追いかけ、敬愛する人物として、シドニー・ポワチエ、そして舞台のジェームズ・アール・ジョーンズがいた。
それが私の記憶だ」と述べた。
ジョーンズの逝去により、オスカー史上最も装飾された黒人俳優インスパイアしたパフォーマンスを持つ人物のうちの二人がいなくなった。
ジョーンズとワシントンは映画やテレビで共演することはなかったが、その芸術的な遺産は精神的に隣り合っていた。
ジョーンズのキャリアを代表するのは1987年のブロードウェイでのトニー賞受賞作品『フェンス』でトロイ・マクソンを演じたことだが、2016年にはワシントンが同作の映画版を監督・プロデュース・主演し、ベスト・ピクチャーとベスト・アクターのオスカーノミネーションを同じ年に受けた初の黒人である。
ワシントンは現在トロント映画祭で、トッド・ブラックと共にプロデュースした新しい『フェンス』の映画化作品『ピアノ・レッスン』をプロモート中である。
この映画はテルライドでの初演後にオスカーバズを巻き起こし、ジョン・デイビッド・ワシントン、ダニエル・デッドワイラー、レイ・フィッシャー、マイケル・ポッツ、サミュエル・L. ジャクソンが出演している。
歴史を超えて共鳴する芸術的精神
デンゼル・ワシントンとジェームズ・アール・ジョーンズは、異なる時代においてもその芸術家としての精神が共鳴していることが明らかである。
ジョーンズが育んだ演劇界での足跡には、声の力強さだけでなく、黒人の演者としての意識変革を推し進めたという意義がある。
その影響は、ワシントンが『フェンス』の映画化で成し遂げた功績にもつながっている。
彼らが映画や舞台で直接共演する機会はなかったが、それぞれの作品やアプローチからは互いの影響を認め合う価値が感じられる。
ここには単に俳優の枠を超えた文化的意義があるのである。
現代における黒人俳優、監督、プロデューサーたちがこのレガシーをどのように引き継ぎ新たな地平を切り拓いていくのか、そしてその中でワシントンのような存在がどのように役割を果たしていくのか、これからの展開に目が離せないであろう。