『The Penguin ザ・ペンギン』シリーズで“ペンギン”と呼ばれない理由
HBOのシリーズ『The Penguin(原題)』において、主人公コリン・ファレルが演じるオズワルド・チェスターフィールド・コブルポット、通称オズが「ペンギン」と呼ばれることはほとんどない。
それは、過去の実写やアニメーションで続けられてきたペンギンという愛称をあえて避ける選択にした、ショーランナーのローレン・ルフランクの意図によるものである。
Deadlineによると、ルフランクは「オズ自身がその愛称を侮辱的だと感じている」というキャラクターの設定を活かし、視聴者により共感を持たせるための手段として、あえて使用を控えている。
また、ルフランクは過去の物語に敬意を払いながらも、それとは異なる新たな描写を目指しており、例えば傘を持たせるといった手法でオマージュを捧げているが、トップハットやタキシードといったクラシックなイメージは避けられている。
彼女はこの作品をコミックブックショーとしてではなく、むしろ犯罪ドラマやキャラクタードリブンのドラマと見なしているため、より多くの人々に訴えるよう工夫を施している。
また、オズのクラブフット（先天性の足の奇形）に関しても、いわば感情的な深層と彼が抱える心理的要因に基づいて物語を深める手法を採用し、過去のステレオタイプからの脱却を図っているのだ。
ファレル自身も、このニックネームがカットされたことに対して、特に1つのシーンではそのまま残してほしかったと語っている。
ただし、それは彼が役を受け入れ、物語の核心に歩み寄る過程の一環として意味があると感じたためである。
『The Penguin ザ・ペンギン』が描くキャラクターの新たな魅力
ルフランクが試みたこの大胆なキャラクター解釈はオズワルド・コブルポットをもはやただの悪役ではなく、名を呼ばれぬことにより、さらに共感を呼ぶキャラクターとして、視聴者に新たな楽しみを提供している。
このようにオズの内面的アプローチが試みられることにより、複雑かつ立体的なヴィラン像が描かれ、視聴者は彼の感情的葛藤に共感することができる。
