【マトリックス レザレクションズ】ネタバレ感想・考察_人気作品の20年ぶりの続編の評価は?

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マトリックス:レザレクションズのアイキャッチ レビュー

3作目【マトリックス レボリューションズ】から18年ぶりに公開となった4作目【マトリックス レザレクションズ】はキアヌ・リーヴスやキャリー=アン・モスなど過去作のキャストが再登場しました。
革新的な映像を生み出したマトリックスの4作目は賛否を生む結果となりましたが個人的には楽しめました!
ということで今回は【マトリックス レザレクションズ】のネタバレ感想をおとどけします!

【マトリックス レザレクションズ】概要

【原題】
The Matrix Resurrections
【日本公開】
2021年12月17日(金)
【監督】
ラナ・ウォシャウスキー
【キャスト】
キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ニール・パトリック・ハリス、プリヤンカー・チョープラー、ジョナサン・グロフ、ジェシカ・ヘンウィック、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
人類と機械の戦争が終わってから60年後の世界。トーマスは普通のプログラマーとして暮らしていたが、やがて彼は自分がマトリックスと呼ばれる仮想現実に囚われていることを知り、真実の世界へと目覚める。そこで彼は新たな仲間たちと共にマトリックスに立ち向かう。
ここから先は【マトリックス レザレクションズ】のネタバレを含みます。
 

ネタバレ感想

難解なストーリーと難解な説明

お風呂に入るネオ引用:https://www.youtube.com/watch?v=9ix7TUGVYIo&t=80s

初めに、私は本作が面白かったと感じました。
本作を観賞した率直な感想は『何言ってんだ?』です。
ポジティブな『何言ってんだ?』です(笑)
というのも私自身、重度の考察オタクだからです。
本作はとても難解な内容で、瞬時に理解するのは大変でした。
もちろん観賞後に整理して考えることでやっと理解できることは多くありました。
しかも作中では下手したら話においていかれるレベルです。
これは話の複雑さもそうですし、序盤にみられた姿の違うネオやトリニティも混乱させます。
この映像の違和感は話が進むにつれて説明されますが、それが説明されるまでは『謎』のままであり、そこに気を取られてしまいました。
これは俳優が変わったキャラクターに対する違和感にも共通します。
難解なストーリーは前3作から共通でしたが、それらは考察の材料として使われてきました。
それこそネオが勤めていた会社のミーティングで行われていたように。
本作の違いは明確な答えが提示されていたことでしょう。
本作は『姿の違うキャラクター』『ネオが生きている理由』『アナリストの正体』など、他にも多くの謎がありました。
その多くは作品内で理由が説明されています。
それでも本作は難解で、ある意味観客に対して不親切な作品ともいえると思います。
なぜなら本作はその説明の仕方が下手だと思ったからです。
これは観客の理解度によりバラバラであり、すぐに理解できる人もいればそうでない人もいるでしょう。
あくまで私は後者だったということです。
本作は作品の理解を観客に任せていると感じました。
それは考察の余地があるものであり、作品自体のマイナス評価にはならないと思いますが同時に観客を置いてけぼりにする可能性がある不親切とも言えるでしょう。
理解しようと頭を整理する余裕もなく物語は進んでいってしまいました。
ここをどううまく観客に説明するかが重要でしょう。
厄介なのはその謎の答えを作品内で説明していることです。
説明しているのに分からない。
これは致命的なミスだと思いました。
しかし最初に言ったようにこれは考察の絶好の材料であり、考察厨の私は好きでした(笑)

キャストの再演

ネオとトリニティ

他に注目すべき点としてはキャストの再演です!
キアヌ演じるネオやキャリー演じるトリニティの再登場は嬉しかったです。
それもCG処理で若返らせずにそのままの彼らを使ったことも作品の時間経過を感じさせており感慨深いものがありました。
しかしそれは結果的にネオがジョン・ウィックに見えてしまうという問題点もありましたけど(笑)
本作はネオが銃を使う場面がほとんどなかったと思うのですが、これはネオに銃は必要ないということなのでしょうか?
それともネオに銃を持たせるとジョン・ウィックになってしまうという理由なのでしょうか。
もし後者だとしたら面白いですね。
髭を剃ったダニエル・ラドクリフみたいに演じたキャラクターのイメージが定着しすぎるのも悩みの種ですね。
前3作から続投のキャストがいる一方、既存キャラを別の俳優が演じることもありました。
例えば前3作でネオと対峙するエージェント・スミスです。
本作はスケジュールの都合でこれまでエージェントスミスを演じてきた『ヒューゴ・ウィーヴィング』がスケジュールの都合で出演できず、代わりに『ジョナサン・グロフ』が演じました。
スミスといえば作中でも特に印象的なキャラクターです。
それを代わって演じるジョナサンのプレッシャーも相当なものだと思ういますが、結果的に新しいスミスが出来上がっていました。
既存のキャラクターの俳優が変わるのは人それぞれ違った感想を持つと思います。
私は本作のスミスを意外にも違和感なく観れました。
考えてみるとそれには理由があります。
それは『スミスではない新キャラクター』として見ていたからかもしれないということです。
作品上、彼は紛れもなくスミスですが、私の中では『ヒューゴがスミスである。』という前提事実が形成されているようです。
『アイアンマンはロバート・ダウニー・Jrだ。』と同じことですね。
なので本作ではどうしても別キャラクターとして見てしまいました。
本作でスミスを演じたジョナサンはインタビューで監督のラナから「ヒューゴっぽい芝居にはしないでほしい」と言われていたようです。
それもあり、これまでのスミスとはどこか違うキャラクターになっていました。
とは言ってもあくまで中身はスミスです。
しかし同じ性格でも俳優が違うだけでここまで別キャラクターとして認識されるのかと驚きました。
単純な疑問なのですが、彼をスミスとして見れた人はいるのでしょうか?
もしヒューゴがこれまで通りスミスを演じていた場合、ネオがアンダーソンとして会社に勤めている時の上司がヒューゴになっていたということかもしれません。
めちゃくちゃ見たかった(笑)
その映像が見られるだけで本作の評価が変わった人もいたかもしれません。
もし会社で銃を拾って自己認識するスミスがヒューゴだったら…。

キャストが変わったキャラクターとしてモーフィアスも挙げられます。
モーフィアスも前3作で重要な立ち位置にいたキャラクターです。
本作のモーフィアスは少々複雑な設定でした。
軽く整理しておくと、このモーフィアスは前3作のモーフィアスとは違ってネオのゲーム内に登場したキャラクターです。
つまりゲームのキャラクターなのです。
初登場時にはエージェント・スミスとして他のエージェントと行動していました。
これはネオが自分に大きな影響を与えたモーフィアスとスミスを無意識のうちに合体させていたというのが理由です。
そんなモーフィアス2がなんと実体化したのが本作のモーフィアスです。
実際のモーフィアスではないので、過去の映像からモーフィアスを追体験していました(笑)
私たちの知るマトリックスの現実世界はマトリックスと同様にたくさんの進化をしてきたようです。

前3作でモーフィアスを演じたローレンス・フィッシュバーンは本作に呼ばれてもいないとインタビューで語っていたことから、モーフィアスは最初から別物になるという構想だったようです。

 

赤いピルと青いピルとネオ

赤いピルと青いピル

マトリックスのテーマとして「自己の発見」があると思います。
これは前3作から共通です。
それはネオと救世主、スミスの存在意義などからも分かります。
マトリックスの象徴的な赤と青のピルの選択は安全な現状の自分のままでいるか、それとも真実を知るかという選択になっています。
今回登場したモーフィアス2もバッグスに赤いピルを渡されてから自分を見つける冒険をしているみたいでした。
それこそモーフィアスの真似をしてみたりですね。

そういう意味では本作のトリニティも同じです。
生き返ってからのトリニティはマトリックスで家族を持っていました。
マトリックス内でトリニティは記憶が無くなっており、現状に満足していました。
そんなトリニティがマトリックスから出る選択が赤と青のピルではなく『自分の選択』だったのが興味深かったです。
このことからピルはただの後押しでしかないと考えられます。
つまり目の前に2種類のピルを出されることで選択肢を提示しているだけなんですよね。
本作のトリニティの選択は本質的にはピルの選択と変わらないと思いました。
ただ、赤いピルがネオ、青いピルが家族なだけです。
ピル以外の方法で選択肢を提示した今回の方法はとても興味深かったです。

この「自己の発見」というテーマは監督の影響が強くあると思います。
マトリックスシリーズを監督したウォシャウスキー兄弟は性別適合手術を受けて今は姉妹として活動しています。
そのことから2つのピルは現状の自分でいるか、それともトランスジェンダーを公表して本当の自分として生きていくかという選択ととることもできます。

退屈なアクションと映像技術

戦うネオとモーフィアス

ちょっと残念だった点が今回のアクションシーンです。
前3作はあの有名なバレットタイムや重力を無視したアクションシーン、銃撃戦など観ていて気持ちの良い場面が多く登場しました。
しかし本作は目立ったアクションシーンが少なかったです。
ネオに至っては武術と衝撃波しか使わないキャラクターになっていました。
これは前に少し触れた『キアヌ=ジョン・ウィック』というイメージが定着しすぎたために、そのイメージを観客に連想差さないようにしたということが考えられます。
しかしその結果が本作です。
せめてリローデッドのような余裕を見せた格闘シーンんは見たかったです。
恐らくネオの年齢を考えてのことだと思いますが少し不完全燃焼感が否めませんでした。
他のキャラクターでアクションを補うことができるとも思いましたが、特に目を見張るアクションシーンはありませんでした。
ただ、本作の敵『アナリスト』のバレットタイムは良かったです。
特にバレットタイムのエフェクトです。
私は映像作品を鑑賞する際、エフェクトに注視することが多いのですが本作のバレットタイムはその点で興味深かったです。
バレットタイムと言えばマトリックスを代表する映像技術でした。複数のカメラで連続して撮影することで被写体は遅いままカメラワークだけ早くするという手法で撮影されました。
いまではCGで簡単に似たようなものが作れることから、本作ではより革新的な映像が必要だったのかもしれません。
元々は撮影手法として名付けられたバレットタイムを作品の登場人物がその名称と共に使用するというメタ的なシーンでもありました。
本作でこのバレットタイムが初登場するシーンでは周りのものはスローになり、アナリストだけが動くことができました。
しかしこのアナリストはフレームが少し落とされた状態にになっているんですよね。
ゲームをやる方ならフレームレートという言葉になじみがあると思いますが、簡単に説明ておくと1秒間に更新される画像の数です。
映像はパラパラ漫画のように連続する画像を素早く切り替えて動きを出しています。
なので今回のアナリストのように1人だけフレームを落とす(1秒間に更新する数を減らす)ことで妙な動きを演出することができます。
実際にカメラのフレームレートを落としたのか、後から編集で削ったのか分かりませんがこれによりバレットタイムの新しい形を作成できたようでした。
実はこのシーンはバレットタイム以外の箇所でCGの粗が目立っていましたがそこには触れないようにしましょう(笑)

 

60年の時を経て

新しいモーフィアス

本作は前作【レボリューションズ】から約60年経過しているようです。
なので現実世界ではザイオンが滅び、新たな地『アイオ』に人々は住み、シンシエイトと呼ばれる人間と共存する機械まで登場しています。
そんな中、オリジナルモーフィアスについても語られていました。
作中でのナイオビの話から、彼は預言者の最後の言葉「新しい力が生まれる」という言葉を信じなかったことでザイオンを滅ぼしてしまいました。
その理由がネオです。
過去作からも感じ取れましたがモーフィアスは結構なネオ信者です。
ザイオンを滅ぼしてしまった理由も「ネオのしたことは覆らない」という妄信的な考えからでした。
それまでにどんなドラマがあったのか気になりますが、結局語られずに終わりました。
できればもう少しモーフィアスの話を聞きたかったのですが、本作でモーフィアスを掘り下げてしまうと脱線してしまいそうなので、これくらいが良かったのかもしれませんね。

地味に嬉しかったのが、プリヤンカ・チョープラーの登場です。
結構前にレザレクションズにプリヤンカが出演するという情報を聞いたまま、忘れていたので突然の登場にはびっくりしました(笑)
プリヤンカは彼女が主演を務めた【クアンティコ】という海外ドラマで知ったので久しぶりのスクリーン登場に嬉しくなりました。
彼女が演じたサティーはレボリューションズで地下鉄で出会った少女です。
意味ありげだったサティーがこのような形で再登場するのは予想外でした。
そもそも本作は制作される予定はなかったので、4作目を制作するにあたってサティーを登場させたのは予想外でした。

 

さいごに

今回は【マトリックス レザレクションズ】のネタバレ感想をお届けしました!
続編なだけに前作のキャストが揃わなかったことが悔やまれますが、マトリックスのその後を見ることができました。
過去作のような深い考察や革新的な映像技術は少なかったですが、マトリックスの雰囲気をまた体感することができて楽しかったです。
最後までご覧いただきありがとうございました!