『ブラック・ミラー』シーズン6_ネタバレ感想_4年ぶりのシリーズは胸糞エピソードが最高で最悪

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ブラック・ミラーシーズン6のアイキャッチ レビュー

こんにちは!シネマトレンドです。
今回は2023年6月15日にNetflixで配信開始されたドラマ『ブラック・ミラー』シーズン6のネタバレ感想をお届けします!
結論から言うと、あるエピソードにはとても引き込まれ、またあるエピソードでは心を破壊されました。

ブラック・ミラーはイギリスで放送開始されたドラマです。
近未来のダークな世界観が特徴で、毎回何か考えさせられて、時には不安になるような癖になるドラマです。
ブラック・ミラーは1話完結型のアンソロジーシリーズなので、基本的にはどのエピソードから観ても楽しめるのが特徴です!

YouTubeでは、この記事を動画にしたものを投稿しているので映像で見たい方はこちらをどうぞ!

ここから先は『ブラック・ミラー』シーズン6のネタバレを含みます。

ジョーンはひどい人

ジョーンは最悪

シーズン6の記念すべき第1話目は『ジョーンはひどい人』です!
予告編から妙に印象に残っていたこのエピソードは、ブラック・ミラーという作品の期待を裏切らないシーズンの最初にふさわしいエピソードになっていました。
Netflixに似たストリーム・ベリーという配信サービスに自分の人生をドラマ化された女性の話です。
そしてジョーンの問題が発生したきっかけに利用規約を使うのは、そこを使うか!となりました。
正直、利用規約を隅から隅まで読む人なんて少ないと思います。
それを逆手にとって、最悪の事態を引き起こしました。
これはストリーム・ベリーと契約したジョーンもそうだし、肖像利用を許可する際に契約したサルマ・ハエックも同様です。
とにかくこの事件の発端が誰も読まないであろう規約にしたのはとてもうまいですね。
たとえどんなことがあっても「それ規約に書いてあるから」だけで済んでしまうという状況は怖いです。

そして、俳優を肖像をAIとして使用するというのは、現在起きている俳優組合のストライキの内容に一致するのです。
このストライキでは賃金や福利厚生の改善など、多くの要求がありますが、この項目は、俳優をAIのデジタルデータとして使用することを規制し、どのように導入していくのか明確にするべきだというものです。
俳優の肖像をAIとして使用するというものは、まさにこのエピソードが描いているものですね。
エピソード中では、サルマ・ハエックが自身のイメージを損なう映像を放送されたとして激怒していましたが、それと同じことが起きようとしているのかもしれません。
実際、米Deadlineが行った組合のメンバーに行ったインタビューでは
「俳優たちは『ジョーンはひどい人』を未来のドキュメンタリーととらえている」
と発言しています。
偶然なのか、ストライキの対象になっているNetflixが直前にこのような作品を公開したのも何か意図があるのでしょうか?

そしてジョーンが弁護士に相談する場面では、ジョーンの生活を記録するときに弁護士が例に出していた
「スマホを置いて会話した内容の広告が表示される」
という現象ですが、私も似た現象が何回か起きたことがありました。
おそらく私以外にも同じような現象が起こったことがある方はいると思いますが、あれ本当に何なんでしょうか?
地味に怖いです。
そしてこのエピソードで一番驚いたのが、仮想世界の話だったということです。
物語の終盤でこれまで見ていたジョーンがいる世界が仮想世界だと知らされたときは衝撃的でした(笑)
そしてその仮想世界の層というのは想像以上に厚いものでした。
私たちがみていたアニー・マーフィが演じるジョーンのさらに外側に本物のジョーンがいたのです。
でもよく考えてみたらそうですよね!
私たちが観ていたNetflixの『ジョーンはひどい人』の主人公はトラブルに巻き込まれるジョーンという女性でありながらも、その姿は見るからにアニー・マーフィでした。
これはストリーム・ベリーでジョーンを演じたサルマ・ハエックと一緒の構造です。
この、ふつうは当たり前の「俳優がキャラクターを演じる」というのを逆手にとった発想には驚きました。
意外にもあっさり自分が仮想世界のCGだと受け入れたジョーンは、本物のジョーンがとった行動だからという理由で量子コンピューターを壊しました。
よく、仮想世界がテーマの作品では、自分が実在しないという事実を受け入れられないというストーリーがありますが、今回は尺の都合もあってかあっさり受け入れていました。
ところで終盤の、ジョーンが仮想世界の登場人物だと明かされる場面は、実在のジョーンはどんな会話だったのか少し気になります。
このエピソードを観る限り『ジョーンはひどい人』は実在のジョーンの出来事をドラマにしているので、仮想世界のジョーンがキャラクターだと知らされるタイミングで、本物のジョーンも何か知らされたのでしょうか?
もしかしたらここまでは考えていないと思いますが、このようにどんどん深みにはまっていくのが、この何層構造にもなった話の恐ろしいところですね。
量子コンピューターを壊したジョーンの物語は、実在のジョーンが登場したタイミングからドキュメンタリー風に変わったように感じました。
カウンセラーとの会話やエンドロールに挟まれる現在のジョーンの生活を映す演出はドキュメンタリーによくある感じでした。
エピソードの序盤にストリーム・ベリーで観る作品を選んでいるとき、ジョーンの婚約者だったクリシュが「実話をもとにした話は見たばかりだから嫌だ」と言っていましたが、皮肉にもこのエピソード自体が実話をもとにした話だったのも面白いです。
このエピソードで登場したストリーム・ベリーですが、元ネタは明らかにNetflixですよね。
ブランドイメージを守るために、自分のサービスをヴィランに使わせない企業がある一方で、名前こそ変更しているものの、ヤバい企業として自社サービスを使ってくるNetflix凄いです。

 

ヘンリー湖

ヘンリー湖

こっちもドキュメンタリー風の作品でした。
前半と後半で大きく雰囲気が変わり、その温度差で風邪ひきそうでした。
前半は結構スローペースで、母親に彼女を紹介する監督志望の男性と一緒に、廃れた街をめぐってそこで起きた不幸な事件の話を知るという結構スローペースだったように感じました。
そしてこのスローペースの前半は後半の急展開をより一層引き立てました。
後半で母親の事件関与が明らかになってからは、むしろ他の似た作品と比べても駆け足で進んでいったように感じます。
特に終盤は衝撃の事実や目を見張る展開の連続でとても画面に引き込まれました。
一見とても優しそうな人間が実は事件に関与しているというストーリーは、これまでも似たものがあったと思いますが、結局それが観客を作品に引き込む正解なのかもしれませんね。
この作品では誰かにとっての不都合は他の誰かにとって都合の良いことになるのだと言うことを説明しているように感じました。
例えば、このエピソードで語られる事件は街の景気を衰退させてほとんどゴーストタウンにしたようなものです。
そしてその街に住んでいた多くの人たちが不利益を被って、その街は大きく廃れてしまいました。
しかし一方で、この事件がドキュメンタリーとして賞を取ると、舞台となった街は以前と同じかそれ以上に活気づけられました。
主人公からしてみれば、この作品は彼女の死と、愛情を注いでくれた実の両親が最悪の犯罪者であるということを動画ネタにした作品です。
最後の顔からも、彼が幸せではないのがわかります。
そんな複雑な心情の彼とは反対に、友人のスチュアートが営むバーは大盛況です。
この2つの側面をこのエピソードでは上手く描いていました。
ただ一方で私は静かな作品大好きなので、楽しめましたが、後半を強調するために前半がとてもスローペースだったので、とくにドキュメンタリーや静かな作品が苦手という人は少し退屈するかもしれないなと思いました。
でも、そういったところにしっかりと伏線は張られていて、たとえば主人公の母親がカメラの前は久しぶりだと言った時とか、深い川の説明も彼女が川で最期を迎えることを匂わせるものでした。
このエピソードで一番心に来たのは、母親の手紙です。
自分の犯罪がばれた母親は自分の行いが記録されたビデオと「for your film」と書かれた手紙を残して亡くなりました。
このたった3単語が書かれただけの手紙で、息子の将来を思う母親の気持ちを感じました。
ちなみに、今回のストリーミングサービスもストリーム・ベリーでしたね。

 

ビヨンド・ザ・シー

ビヨンド・ザ・シー

出ました、これ。
公開前から『ブレイキング・バッド』のジェシー・ピンクマンで知られるアーロン・ポールが主演ということで期待値の高かったこのエピソードですが、まさか、シリーズでも上位に入る胸糞エピソードだったとは思いませんでした。
ブラック・ミラーは後味の悪い作品が多い印象ですが、これはその中でも良い意味で最悪でした。
これを観たあとは少し放心状態になってしまいました。
デイヴィッドがクリフのレプリカを借りたあたりから、このエピソードがNTRなのではないか!?と嫌な予感がしていたのですが、まさかもっと嫌な結末が待っていたとは思いませんでした。
このエピソード内では常に胸糞を更新していました。
最初のデイヴィッドの家族が目の前で殺害される胸糞から始まり、クリフの家族が殺害される胸糞で終わるという最悪展開にはさすがに精神を削られました。
この胸糞エピソードに説得力を持たせるために1時間20分という時間を使ってじっくり最悪な展開に進んでいくので、本当に疲れました。
それでも、ここまで最悪な気持ちにさせることができたのは、作品としては成功ですね。
アーロン・ポールの演じ分けがとてもすごかったです。
このエピソードではレプリカと呼ばれる意識を転送するロボットをデイヴィッドと共有することになりますが、デイヴィッドがレプリカに入っているときは、本当にデイヴィッドみたいでした。
演じているのはアーロン・ポールなのですが、一目見ただけでどっちが入っているのかわかるのは、さすがです。
このエピソードでは奥さんが強かったですね。
この舞台は近未来的な技術が発達した1969年です。
私はこの時代には生まれていないので、あくまで憶測ですが、この時代は亭主関白だった印象です。
このエピソードでもクリフの家庭は父親を中心にしたもののようでした。
奥さんもそれに従っていましたが、ある時夫の性格がより社交的になります。
外見は自分が愛した男性で、性格がより自分に寄り添ってくれるものになった場合、そっちに惹かれてしまうのも無理ありません。
実際に作中でも惹かれそうになった描写はありましたが、自制することができていました。
そしてデイヴィッドとクリフです。
最後にクリフを椅子に座るように促すデイヴィッドですが、そのしぐさに公開する様子はなく、むしろ挑発的でした。
これはその後のいやな展開を感じさせるものでした。
善意を持った人の行いで、悪意を持った人間に幸せを破壊されるストーリーは本当に最悪です。

 

メイジー・デイ

メイジー・デイ

このエピソードは、これまでのブラック・ミラーとは違ったテイストでした。
これまでのブラック・ミラーといえば、近未来のテクノロジーが引き起こす不気味な世界がテーマにありました。
しかしこのエピソードは近未来というよりもオカルト色が強くなっていました。
このエピソードで近未来の描写ってありましたか?
ストーリーは意表を突かれました!
最初はひき逃げをした俳優をパパラッチが精神的に追い詰める作品かと思いきや、まさか狼人間になるとは思いませんでした。
これまでブラック・ミラーには純粋なオカルト作品というのは無かったと思うので、そういった意味でも思っていたものと違いました。
中身は少しあっさりしていた印象です。
よく言えば、他のエピソードと比べるとすっきりと終ったと思いました。
その理由として考えられるのは物語の展開と主人公の意志だと思います。
作品において主人公はその物語の雰囲気を大きく左右することができると思いますが、この物語の主人公は自分の決断や意思表示が少なかったように感じました。
全体的に自分の意志というより、物語の流れに身を任せており、それが結果的に単調な作品になったのかな?と思います。
行くところ行くところで次の展開につながる話が出てきたりして、主人公はただそれに従っているだけに感じました。
主人公以外の登場人物も作品の雰囲気に大きな変化を起こすわけではなく、主人公が次に向かう道を示すためだけにいるような、ゲームのNPCのようでした。
ただ、そんな単調さもあってか、物語は比較的すっきりと終ったのでよかったです。
それでもやはり、これまでの近未来をテーマにしたブラック・ミラーとは違った印象を持ちました。
このエピソードは、ブラック・ミラーというよりも、同じNetflixオリジナル作品の『ラブ・デス・ロボット』の作品のように感じました。

 

デーモン79

デーモン79

世界の滅亡を阻止しようと奮闘する作品はこれまでいくつも作られてきました。
このエピソードは殺人で世界の滅亡を阻止するという一風変わったものでした。
そして、滅亡を阻止できないという終わり方もブラック・ミラーらしいです。
だけどいまいちハマりませんでした。
パーパ・エッシードゥ演じる軽いノリの悪魔は好きになりましたし、結局滅亡してしまうというラストもブラック・ミラーらしかったです。
しかし、この作品のメッセージというか、本質がわかりませんでした。
何か深く考えさせられることもなかったです。
ただの娯楽作品と言われればそれまでですが、これまでのブラック・ミラーは後味が悪いけど妙に考えさせられるものが多かったです。
それらと比べてしまうと少し拍子抜けでした。
ラストで悪魔と永遠の忘却空間に歩いていきますが、このエンディングもなんかしっくりきません。
シーズン3の『サン・ジェニペロ』のようなテクノロジーとノスタルジーの融合した雰囲気も感じず、ただ悪魔と女性が仲良くなるという物語にいまいちハマれませんでした。
そして前のエピソードと同様に、このエピソードもテクノロジーというよりはオカルト系でした。
ブラック・ミラーは方向転換したのでしょうか?
これまでのSF作品が良かっただけに、それを続けてほしいです。

 

さいごに

今回はブラック・ミラーシーズン6のネタバレ感想をお届けしました!
約4年ぶりに新シーズンが配信された本作は期待を裏切らない後味の悪いエピソードや記憶に残るエピソードなど幅広くありました。
今シーズンも引き込まれ、心を揺さぶられました(笑)
一方で、今回はSFをテーマにしていない作品がいくつかあったので、今後のブラック・ミラーのテーマが変更されるのか?それともそのままなのかというのも気になります。
シーズン7以降もさらに刺激的なエピソードが観れることを期待しています!
皆さんも利用規約には気を付けてくださいね。
最後までお読みくださりありがとうございました!