こんにちは!
今回は、Netflixで配信されているNetflixオリジナルホラー映画【ノー・ウェイ・アウト】のネタバレ感想・考察・解説をお届けします。
まずは、本作の基本情報を確認しましょう。
【ノー・ウェイ・アウト】の基本情報
予告編
メキシコからクリーブランドに渡った不法移民の女性が見つけた、古い屋敷。他に行くあてもなく、そこに間借りすることにした彼女を、不気味な悪夢が待ち受ける。Netflix
本作は、アメリカのオハイオ州にあるクリーブランドの女性専用アパートを舞台にしたホラー映画です。
原作小説
本作は、アダム・ネヴィルの小説【No One Gets Out Alive】が原作です。
アダム・ネヴィルはイギリスのホラー小説作家で、本作の製作総指揮でもあります。
実は、Netflixオリジナル映画【ザ・リチュアル】の原作者でもあります。
【ノー・ウェイ・アウト】と【ザ・リチュアル】は、【ザ・バットマン】への出演や、【ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ】の監督を務めたアンディ・サーキスを含めた、共通のクルーで制作されており、本作では、一瞬ですが【ザ・リチュアル】の出来事を匂わせる場面が登場します。
今後、アダム・ネヴィルの小説が原作の作品が制作されるごとに、このような繋がりが示されると嬉しいです(笑)
タイトルの意味
本作は【ノー・ウェイ・アウト】というタイトルです。
実は【ノー・ウェイ・アウト】は邦題(日本語タイトル)です。
原題(本来のタイトル)は【No One Gets Out Alive】です。
邦題の意味としては、『逃げ場がない』、『行き詰った』ことを指す英語です。
原題の意味としては、『誰も生きて出てこない』という意味です。
邦題と原題で少し意味が変わりますが、どちらも不穏な雰囲気を醸し出していますね。
サンティアゴ・メンギーニ監督
【ノー・ウェイ・アウト】の監督を務めたのは、サンティアゴ・メンギーニです。
サンティアゴは監督業の他に、視覚効果アーティストとしても活動してきました。
監督としてはこれまでホラーを中心に短編作品を手掛けてきており、本作が長編映画の初監督です。
サンティアゴは自身のホームページを持っています。
ホームページでは、これまで手掛けた作品について更に詳しく知ることが出来ます。
クリスティーナ・ロドロ
メキシコからの不法移民のアンバーを演じたのは、クリスティーナ・ロドロです。
マーク・メンチャカ
アパートの管理人のレッドを演じたのは、マーク・メンチャカです。
マークは、Netflixのドラマ【オザークへようこそ】への出演で知られています。
それではネタバレ感想・考察に行きましょう!
ネタバレ感想・考察
怖さよりも不気味さ
本作はホラー映画ですが、怖さよりも不気味さが強い映画だと感じました。
まず、本作で登場する幽霊は襲ってくることはありません。
何故なら登場する幽霊は皆、生贄になった人々だからです。
そのためアンバーの後ろに現れても、シャワーを浴びている時に現れても何かをすることはありません。
これは物語中盤の、幽霊が勢ぞろいしている場面が分かりやすいです。
なので、本作では怖さよりも、不気味さが強いと感じました。
謎の箱や、管理人のレッドの兄が不気味さを放っていました。
物語終盤で登場するモンスターも、ホラー的な怖さではなく、むしろ不気味さを放った謎の存在としての立ち位置だと言えます。
前半と後半の差
本作を観て感じた点として、前半と後半の差があります。
正直、前半の流れが後半も続いていたら、今より評価は低かったと思います。
何故なら、前半のテンポの悪さが目立つからです。
これは、映画館の様な作品に集中できる環境が整っていますが、家のような場所では、どうしても他の事に気を取られる瞬間が出来やすいです。
映画館以外で視聴される作品では没入感が特に重要で、ある意味映画館で上映される作品以上に物語への没入感に気を付けなければいけません。
前半では、メキシコから不法入国したアンバーが、不法移民を雇っている違法な縫製工場で働き、アパートを見つける場面が印象的です。
しかし、それ以外には特に何もなく、時間を無駄に使っている感じがしました。
ホラー作品では、前半の展開が後の伏線になっていたり、キャラクターの内面を掘り下げて後半につなげたりと、良い効果を生むことがありますが、本作では良い効果は生まれたとは言えませんでした。
本作では、前半に
- アンバーが不法移民である
- 身分証明書がない
- 頼れる人がいない
- お金がない
- 仕事がない
ことを示していました。
頼れる人として、ベトの家族がいると考えることもできますが、助けに来てくれたベトは死に、ベトの妻は、ベトがアンバーにコートをあげるように言った際、一度嫌な顔を見せていました。
これらにより、物語のラストでアンバーが玄関を出なかった理由として、頼れるものがないことが関係しているかもしれません。
つまり、身分証が無いので警察に頼ることが出来ず、仕事に就くこともできず、お金はだまし取られ、ベトが殺害された後にベトの家に住むのは大変なので、アパートにとどまる方が楽だと考えたのかもしれません。
そして後半です。
正確には、3分の2が過ぎた頃だと思います。
アンバーがお金を取りにアパートへ戻り、レッドの兄にワインを飲まされる場面から、急に雰囲気が変わりました。
出来れば、後半のテンポで前半も進んでほしかったです(笑)
なぜ、最後にアンバーは玄関を出なかったのか
主人公のアンバーは、物語のラストで、管理人のレッドを生贄に捧げ、玄関の前まで来ました。
すると玄関の前で、アンバーの折れていた足が回復しました。
これは、レッドの兄が生贄を捧げる報酬として、驚異的な回復力を得ていたことが関係しています。
アンバーはレッドを生贄に捧げたことで、驚異的な回復力を手に入れることが出来たのです。
では、なぜアンバーは玄関を出なかったのでしょうか。
一つの説としては、上述の通り、外に出ても頼れるものが何もないことが考えられます。
もう一つの説としては、箱に取りつかれた可能性です。
レッドの話では、まず初めにレッドの父親が取りつかれ、父親を殺害した後、レッドの兄が取りつかれたと言っています。
つまり、箱は常に1人の人間を欲しているということです。
そのため、レッドの兄がいなくなった今、新たな人間を必要とした箱は、アンバーを選んだのかもしれません。
そして、アンバーは前任者同様、箱に取りつかれたということでしょう。
生贄の条件
本作では、序盤からいけにえにされた女性の霊が数多く登場します。
ここで気になったのが、生贄の条件です。
これまで登場した幽霊は皆、女性だったのですが、アンバーはレッドを生贄にすることが出来ました。
このことから、生贄に性別は関係なかったようです。
では、なぜ女性を生贄にしていたのでしょうか。
それは、最初の生贄がレッドの母親であったからです。
つまり、初めての生贄が女性であったことからそのまま続けてきただけの様です。
恐らく、レッドと兄は箱について何も分かっていなかったのでしょう。
総評
本作の全体的な感想としては、やはり前半のテンポの悪さ、内容の少なさが目立ってしまっているように感じました。
後半のテンポで前半が展開されていれば、もっと良くなっていたかもしれません。
もう一つ気になったのが、説明の無さです。
本作では、箱が何なのか、アンバーはどうなったのか、レッドが言っていた「あと少し」とはどういう意味なのかなど、説明されていない要素が多く存在しました。
最近のホラー映画では、真相を描いたり、完全に描かずに真相を匂わせる場面が存在することが多いです。
しかし、本作は最後まで謎が解決しませんでした。
これは、作品内でしっかり物語が解決してほしい人にとっては残念な作品になったと思います。
私は、後の展開を予想させる物語は嫌いではありませんが、あまりにも何も説明されなかったので気になりました。
本作はホラー映画にしては、ホラー要素が弱く、謎と不気味さが勝る映画だという印象でした。
さいごに
いかがだったでしょうか。
【ノー・ウェイ・アウト】はアダム・ネヴィルの小説【No One Gets Out Alive】が原作のホラー映画でした。
原作小説がある映像作品は、どうしても原作小説と比べられることが多いです。
【ハリー・ポッター】や【ドラゴンタトゥーの女】のように成功する作品もありますが、
原作ファンの期待に応える作品になるかは腕が試されます。
アダム・ネヴィルの小説は日本語訳されたものがありませんが、興味がわきました(笑)
ここまで読んでいただきありがとうございました!