『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ネタバレ感想・レビュー_伝説の殺し屋は仲間と共に人生を巡る

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ジョン・ウィック:コンセクエンスのアイキャッチ レビュー

こんにちは、シネマトレンドです。
今回は2023年9月22日に公開された映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のネタバレ感想をお届けします。

本作は2014年から続く『ジョン・ウィック』シリーズの4作目ということで、前作以上に気合の入ったアクションが見どころでした。

ここから先は『ジョン・ウィック』シリーズのネタバレを含みます。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ネタバレ感想

進化したアクション

本作はまず何といってもアクションがすごかったですね。
『ジョン・ウィック』シリーズと言えばアクションのイメージがありますが、本作は全4作の中でも一番アクションに気合が入っていました。
その気合の入り方は、映画本編のほとんどをアクションシーンにしてしまうくらいのものです。
おそらく、アクションシーンと会話シーンの尺を比較したら、アクションの方が長くなるのではないでしょうか?
本作は上映時間が2時間49分と長尺なのですが、それを感じさせないくらいアクションが続きました。
休む暇がないくらい常に画面が忙しいので、本当に一瞬に感じました。
ただ、それは私がアクションを好きだからというのが大きいと思っていて、裏を返すと本作はストーリーが薄いです。
ただ、これは1作目から共通するものなので薄いストーリーと目を見張るアクションがもはや『ジョン・ウィック』シリーズだと思うので私は全然気になりませんでしたが、作品にストーリー性を求める人からすると本作はハマりにくいのかな?と思います。
ただ、ストーリーが薄いと言っても全くないわけではなくて、このシリーズは1作目から続く壮大なジョン・ウィックの逃亡劇なわけです。
そして本作はその締めともいえる作品でした。
なのでそこに忘れてしまうようなストーリーの薄さは無く、むしろ記憶に残るものでした。
『ジョン・ウィック』シリーズは本作を含めた全4作で映画1つ分のストーリーになると思いますが、それを4作に分ける穴埋めとしてのアクションが完璧で、ストーリーの薄さは気になりませんでした。

 

アクションでは、例えば過去作から共通する戦い方は健在でした。
その中でも本作は特に銃撃戦がすごくて、それは登場する銃の種類も同様です。
クラシックなハンドガンに加えて本作では火を噴く銃も登場します。
それぞれの銃の特徴がどれも魅力的でした。
そして敵側の防御力が格段に上がったことで、この銃の扱い方がより大変になります。
これまでジョンが着ることが多かった防弾スーツですが、本作ではもはや標準装備になっており、ほとんどのキャラクターが着ています。
このスーツはジョンをみれば一目瞭然ですが、銃弾を通さないので頭を打たれない限りは動き続けることができるというチートアイテムです。
それをグラモン伯爵側の敵が皆着ているので、全然死にません。
なのでとにかく膝をつかせてから頭にしっかり打ちこむというのが必要でした。
これまでの体に1発頭に1発が通用しなくなったので、1人倒すにも大量の弾と柔術が必要になっており、1人当たりのアクションもより激しいものになっていました。

本作のアクションは地域色が強くて、例えば映画の冒頭の砂漠では馬に乗って標的を追いかけるジョン・ウィックから始まり、パリでは凱旋門の近くを走る車をよけながらの戦闘、そして日本では弓や刀を使った侍や忍者を意識したようなアクションなどがありましたね。
スタイリッシュな戦闘シーンも魅力で、例えば刀を使った戦闘は動きがキレキレで息つく暇もありませんでしたし、弓を使ったアクションも矢を打ち続けるだけでなく、弓自体を使った戦闘もあり、小柄な体を駆使したまとわりつくような動きもそれぞれの特徴を最大限生かしたスタイルでとても素晴らしかったです。
他にも本作にはそれぞれの特徴を生かした個性的なキャラクターが多数登場しました。

 

個性的なキャラクター

そんな本作は自身の特徴を生かした戦闘スタイルと個性的なキャラクター性がとてもいいです。
まずはケインです。
ケインは盲目の殺し屋で、常に歩行を助ける白杖のようなものを持ち歩いており、それを戦闘にも使用します。
このケインの戦闘シーンが本当にかっこよかったです。
ケインは盲目だけどそれを感じさせないというか、むしろそれがより一層戦闘にいかされていました。
高い瞬発力と目にもとまらぬ早い戦闘がとても良かったです。
動きにキレがあり、ジョンの戦闘は特に近接戦において、重い動きから繰り出される敵をその1撃で仕留めるような攻撃があり、それは柔術で特に目立ちます。
一方でケインは速い攻撃が得意で、白杖もまるでフェンシングのように素早い剣さばきで敵を倒し、打撃もカンフーのような高速のパンチや華麗な動きが目立ちました。
映画本編を通してジョンの戦闘が多いからこそ、ケインの素早い戦闘が新鮮で、かつケイン自身のキャラクター性やちょっとお遊びが入ったような独特な戦闘スタイルで私はすぐにケインが好きになってしまいました。
ケインは盲目なのですがそれを生かした戦闘スタイルもとても魅力的でした。
例えば人感センサーを利用して、目が見えない中でも相手の位置を把握する戦闘スタイルはユーモアを演出しつつも実践的で効果的でした。
そしてケインは盲目なので銃を撃つときに敵を見なくて良いのも、ケインの余裕が出ているようでとても良かったです。
作中での会話からケインはもともと目が見えていたようなので、その時は今以上の戦闘能力があったことを考えるととても恐ろしいとともに、盲目になってからの適応能力にあこがれます。
戦闘だけでなくケイン自身の性格もよくて、最初の戦闘前のラーメンを食べている姿から謎の強者感が漂ってきますが、実際は常に軽い性格なのも面白いです。
一方で娘思いの一面もあり、それはある意味ケインの弱点でもありました。
そのためグラモン伯爵は娘を利用してケインを従わせました。
最終的にグラモン伯爵が殺されたことでケインと娘は自由になったので、ケインの今後も観てみたいですが、映画の最後にはケインが大阪で命を奪ったコウジの娘のアキラに命を狙われる場面で終わったのでちょっと不穏です。
あの場面は最後まで描かれることが無かったので、観客の想像に任せることになりましたが、考えられる可能性としては、あのままアキラに刺されてケインが亡くなるパターンと、ケインがアキラの攻撃を阻止してなんやかんや2人で行動することになるパターンがありそうですね。
私は本作を通してケインの魅力に虜になったので、何とか生きていてほしいです。
ただ、作中でケインが「生にしがみつくものは死ぬ」と言っていたので、それがこのラストの伏線になっていないか心配です。

 

そしてミスターノーバディです。
どこかの異様に強くて弁護士やってそうな中年男性みたいな名前ですが、このMr.ノーバディもとてもユニークで良かったです。
Mr.ノーバディは同じく初登場したケインやグラモン伯爵と違い、その素性がほとんど分かりませんでした。
最後まで名前もわからないそのミステリアスさと、ジョンの居場所をすぐに探し当てるスキルに長けていました。
初登場時から犬を連れて、特異な雰囲気を纏っていたノーバディはジョンとの初対面時から卓越した銃の扱いを披露します。
ジョンと対面したときにも懸賞金が上がるのを待つ強者ぶりを見せていました。
ただ、グラモン伯爵との初対面時には自身のひるまない態度が災いしてナイフで手を刺されることになりました。
直前でケインはノーバディの態度に対してアドバイスしていたので、ここに経験の差が出ていました。
ケインはジョンと兄弟同然だったように、ノーバディ以上に裏社会での振舞い方が分かっているようで、普段のお茶らけたスタイルは保ちながら、自分に不利益が被られないようにうまく立ち回っていました。
そこにケインとノーバディの経験の差がありました。
ただ、一度はナイフで手を突き刺されたノーバディですが、そこで完全にひるむことは無く、強気に出て賞金を上げさせます。
ここで弱気な姿勢を見せないところも魅力なのかもしれませんね。
そしてノーバディと言えば忘れちゃいけないのが犬です。
愛犬に指示を出し、一緒に戦う姿は『ジョン・ウィック:パラベラム』で登場したソフィアを思い起こさせます。
ジョン・ウィックシリーズは犬が必ず出てきますね。
ノーバディの犬は「kill」や「nuts」など単純な言葉で相手を致命傷にするわけですから、この殺傷能力の高さが怖いです。
そんなノーバディの犬はグラモン伯爵の手下に殺されそうになったところをジョンに助けられます。
ジョンは1の冒頭で飼い犬を殺害されたことが今まで続くことの原因の1つになっています。
なのであそこで犬を見殺しにすることができなかったのでしょう。
そしてそれを見たノーバディはジョンを見る目が変わり、助けに回ることになります。
このノーバディが何者なのか気になりますよね。
手帳にはジョンの似顔絵から関係図まで網羅されており、トラッカーとしての能力の高さがうかがえます。
今後、ノーバディが登場するスピンオフなどが製作されて彼の素性がより明らかになると嬉しいです。

 

そして日本からは真田広之演じるコウジが登場しました。
伝統的な日本人という感じで、刀と銃を使って戦います。
流石というか、軸のしっかりした刀さばきで敵を圧倒しており、普通にかっこいい。
仲間思いな一面もあり、娘を思う姿はケインと一緒でした。
ケインもジョンもコウジと友好関係にあるのも3人の過去が気になります。

そしてグラモン伯爵です。
伯爵を演じたのはビル・スカルスガルドで、有名なところでは『IT』シリーズでペニーワイズを演じてました。
ペニーワイズや『エターナルズ』のクロなど、人外の役を見事にこなしますが、人間もとてもかっこ良かったです。

このように個性的で魅力的なキャラクターがたくさん登場し、どのキャラクターも好きになりました。
ここまで様々なキャラクターや独自の世界観が出来上がっているので、今後も続いていってほしいです。
すでに決まっているものだと、2024年にはスピンオフ作品『バレリーナ』が公開予定で、アマゾンプライムではオリジナルドラマ『ザ・コンチネンタル』も配信されているので、今後このユニバースがどのように拡大していくのか楽しみです。

 

人生の階段

本作でジョンは決闘に向かうために222段の階段を上がらなければいけませんでした。
その直前にも凱旋門や路地裏でぎりぎりの戦闘を繰り広げてきたジョンにとってその階段は果てしないものです。
さらに、そこにはまだ多くの敵が待ち構えていました。
私はこの階段が人生を表していると思いました。
本作でなんどか登場した(such is life)「これが人生」という言葉もあり、最後の階段が人生を表していると思います。
ジョンは映画に描かれている部分でも、ウィンストンやホームレスの王のバワリー・キングなど多くの人に助けられながら生き延びてきました。
最初は一人で階段を上ろうと必死のジョンでしたが、立ちはだかる敵に1番下まで突き落とされることもあります。
ただ、そこでケインやMr.ノーバディのような助っ人に助けてもらいながら目的地まで上り詰めるその姿にこれまでのジョン・ウィックを感じました。

 

ジョン・ウィックのラスト

ジョンは最後のケインとの決闘で致命傷を負い亡くなりました。
これまで4作通して活躍を見てきたジョンが死ぬということで、悲しいかなと思ったのですが、私はあまり悲しいという感情はありませんでした。
そこでなぜなのか考えたとき、むしろジョンに対するお疲れ様の感情の方が強いからだと思いました。
2014年に1作目が公開された『ジョン・ウィック』シリーズですが、作中での時間は約1年ととても短いです。
その1年間落ち着くことができなかったジョンがついに目的を達成して誰にも邪魔されることがなくなったので、そこに悲しいという感情よりも、よくやったよと感じました。
しかし、ジョンの死はまだ怪しい点があるので今後ジョンが実は生きていたという展開もあり得ますが、伯爵を殺したことでその後のジョンに追手が来ないという点でも、ジョンが本当の平穏を手に入れたと考えることができます。

 

ジョンの死と怪しい点

そんな亡くなってしまったジョン・ウィックですが、この死には疑問が残ります。
特にそれを匂わせていたのがバワリー・キングの発言です。
ジョンを送り出すために地下水路を進んでいたジョン・ウィック、ウィンストン、バワリー・キングの3人ですが、自身の墓の話になります。
その時バワリー・キングは数年前に自分の墓を建てたと言っていました。
このセリフがラストのジョンに繫がっていると思っていて、ジョンもキングと同じように墓だけをたてて、ジョン・ウィックとしての人生を終わらせ、誰も知らない1人の男性としての人生をスタートしたのかもしれません。
そうすると、ジョンはまだどこかで生きていることも考えられます。
これまで落ち着くことが無かったジョンにとって本当の平穏が得られたのかもしれませんね。
もし生きていたとすると、今後再登場する可能性もありますが、そこでまた平穏が奪われてしまわないか心配です。

 

さいごに

今回は映画『ジョン・ウィック』コンセクエンスのネタバレ感想をお届けしました。
やっぱりジョン・ウィックシリーズと言えばかっこいいアクションですが、本作でも健在というかパワーアップしていましたね。
2時間49分の上映時間で半分以上アクションを浴びせられたので、鑑賞後は疲れがすごかったです。
『ジョン・ウィック』シリーズは今後公開が予定されているスピンオフの『バレリーナ』やアマゾンプライムビデオでは『ザ・コンチネンタル』も配信されているので、今後このユニバースがより拡大されていってくれると嬉しいです。
最後までご覧くださりありがとうございました!