こんにちは、シネマトレンドです!
今回は、Netflixで配信中のドラマ【ザ・ウォッチャー】のネタバレ感想・考察をお届けします!
本作は【アメリカン・ホラー・ストーリー】(AHS)などで有名なライアン・マーフィーが制作を務めたサスペンスホラーです。
本作の雰囲気はやはり、ライアン・マーフィー制作ということもあり、AHSのような不穏な雰囲気のまま作品は進んでいきます。
この雰囲気、癖になるんですよね(笑)
キャストも作品を一味も二味も良くしていました。
私のインスタグラムでも、オススメ新作として紹介していたので期待大でした。
それでは早速、本題に入っていきましょう!
【ザ・ウォッチャー】ネタバレ感想
いやー、不穏でしたね(笑)
終始その不穏さは衰えること無く、むしろエピソードが進むごとにその強くなっていくようでした。
その描写も映像で上手く表現されていました。
例えば、家族が初めて郊外の家の見学に来た際は賑わっており、映像の色合いも鮮やかでした。
しかし、後半には映像はくたびれた灰色の様な色合いが目立つように変わっており、家は寂しさと不穏さを感じさせ、あれだけ広く心地よさそうだった芝生も元気が無いように感じました。
このような映像で作品の雰囲気やキャラクターの心情を表現する手法は多くの作品に共通しますが、本作ではとても印象的で上手く作用していました。
その自然な霧変わりは気が付かない人もいるのではないかと思うほどです。
そして音も印象的でした。
本作は頻繁に都会と郊外を行き来していましたが、都会ではバスや電車の騒音など人が不快に感じるような音が意図的に強調されていました。
家の中ではスマホのアラームの音が強調されていましたね。
個人的にアラームの音はTOP3に入るほど嫌な音です(笑)
一説には、自分の好きな曲をアラームにすると嫌いになってしまうと言われているとかいないとか。
とにかく、そのような嫌な音が強調されているのですが、逆に郊外では鳥の鳴き声や車の音などが不自然なほど聞こえず静かでした。
都会での騒音から郊外の静かさに移行すると、どうしても郊外に居心地の良さを感じてしまいますね。
音と言えば、本作の音楽がとても印象的でした。
サスペンスやホラーと言えば、掴みどころのない不気味な音楽が多いですが本作はむしろテンポの速い焦らせるような音楽でした。
ある意味不穏ではありますが、むしろテンションの上がるような音楽で私は好きでした(笑)
本作の予告編が公開された時、てっきり私は本作がホラーだと思っていました。
しかし、実際にはむしろ人間の奇妙さが際立つサスペンスでした。
奇妙な人間はマーフィーの得意分野でもあり、他の作品でも多くみられます。
本作でも庭のビーチチェアに座り日光浴をするミッチとモーや、イカれた隣人のパールとその息子のジャスパーなど奇妙なキャラクターが多く登場しました。
彼らの奇妙な言動や行動には恐怖や怒りを感じることがありますが、時々見せるまともな一面がそのキャラクターに対する印象を惑わせます。
もしかしたら、彼らはまともなのでは?と少しでも思ってしまうところが面白いですね。
キャラクターの描写で興味深いのが、ジョン・グラフです。
ジョン・グラフと言えば、自分の家族を殺害し血を抜いた殺人犯です。
ディーン一家が引っ越してきた時も捕まっていなく、自分映った写真をすべて切り抜いたことで、容姿さえ判明してません。
そんなジョンの容姿を知っているのは、キッチンで出くわしたディーンと、元家主の回想を観た我々観客だけです。
そうすることで、姿が明らかになってないが故に他の人々からキッチンで出会った男がジョンであったと信じてもらえないモヤモヤをディーンと観客が共有することができていました。
しかし、物語のラストで癌を患っているセオドラが嘘をついた時の回想にも、いないはずのセオドラが登場していたことから、ジョンの出てくる回想が本当なのか信じられなくなるのが面白いですね。
少し嫌だったのが、娘の告発動画です。
告発というには嘘というか認識の齟齬が生じており、みた人に誤解を与える内容になっていました。
そのせいでディーンの会社での立場やノラのクラブの会員資格が停止されるなどの悪影響が出ていましたね。
あのシーンは好きではありませんでした。
娘のエリーも衝動的に行動してしまいました。
恐らくあのシーンで伝えたかったこととしては、ネットの情報が必ずしも正確だとは限らないということでしょう。
実際にディーンがダコタを娘から遠ざけた理由は、ダコタがウォッチャーであると信じていたからです。
しかし、信じられるのはSNSを利用した娘のエリーのほうです。
さらに人種問題を絡めることでその情報はより重さが加わります。
BLMなど昨今は人種問題が騒がれている中での発信はより慎重に、そして情報を鵜呑みにせず1次情報などの真実性の高い情報を確認することが大切なのかもしれませんね。
余談ですが、エリーが利用していたのはTikTokだったと思いますが、エリーのTikTok内での認知度が気になります(笑)
そして、この動画などがきっかけで『ウォッチャー』の定義に当てはまる人がエピソードが進むごとに増えていきました。
最初は手紙の差出人が『ウォッチャー』だったのですが、隣人の監視によって隣人がウォッチャーに、そして年頃の娘を過度気にするディーンがある意味ウォッチャーに、そしてTikTokの動画によって周りの友人や同僚が自身にとってのウォッチャーになっていきます。
結局『ザ・ウォッチャー』はきっかけに過ぎず、そこから派生していく人々の目が本当のウォッチャーであり、恐怖だったのかもしれませんね。
結局すべての謎が解けることはありませんでしたね。
匂わせなどはありましたが、キッチンでサンドウィッチを食べていたジョンは本当にジョン・グラフだったのか?
そもそもジョン・グラフは家族を殺害してたのか?
ミッチとモーは本当に血を飲んで悪魔崇拝をしていたのか?
これらの疑問は謎のまま終了しました。
これは、ディーンが『ザ・ウォッチャー』の未解決事件に憑りつかれておかしくなっていたのと同様に、観客が最後まですべての謎を解けずに終わるという、本作自体が未解決事件になることで観客を惑わせる狙いがあったと考えられます。
でもモヤモヤします(笑)
なぜ教師のロジャーはジョン・グラフに見覚えがあり、家族の事を聞いたのでしょうか?
やはり、あの家に固執していたロジャーは何か知っているのか?
その話になったときにジャスパーの様子がおかしくなったのも気になりますね。
噂ではジャスパーが何かを目撃したことで精神がおかしくなってしまったと言われていました。
結局、このように永遠に考えても答えが出ないことが未解決事件の真の恐ろしさなのかもしれません(笑)
少なくとも、ディーンが未解決事件に憑りつかれてしまうのを心配したエレノラは白でよさそうです。
エレノラは本作でも数少ない良い人でした。
そういえば、エレノラが突き止めた元家主でマネージャーのアンドリューですが、本人の証言が正しければマネージャーをしていた時にアンドリュー・ガーフィールドを担当していたようです(笑)
最終的に『ウォッチャー』の正体はカレンであると考えて良いのでしょうか?
カレンは最初から家を売らせたがっていましたし、ブランノック一家が家を売ってすぐに買っていました。
ウォッチャーの噂によって家の価値は下がり、当初よりも安く買うことができたのでカレンにとっては得です。
しかし、最後にカレンとノラが話した時には、手紙の主は自分ではないと話していました。
これは最後まで嘘をついたのか、それとも本当にカレンではないのか?
謎は深まるばかりです。
最後に、これでもかと配膳用エレベーターから手紙が出てきたり、ペットの死、階段から出てくる謎のローブを羽織った人など、恐怖要素が詰め込まれていたのは少し笑いました。
とても怖いかと言われると、もちろんどれくらいホラーに耐性があるかによりますが、ある程度ホラー作品を観ている人からすると少し物足りないかなというレベルだったと思います。
制作を担当したライアン・マーフィーの過去作から分かる通り、マーフィーの作品は恐怖というより奇妙なものが多いです。
その点で本作は奇妙な雰囲気が全編を通して感じられていました。
ラストに関しては、綺麗に完結していない性質上、好みを分けるかなと思いました。
ライアン・マーフィーとNetflix
この作風を上手く作り出すのが【アメリカン・ホラー・ストーリー】(以下AHS)の制作も務めたライアン・マーフィーです。
AHSを観たことのある方なら本作の雰囲気に見覚えがあるのではないでしょうか?
私はライアン・マーフィーのファンですが、本作はAHSに共通するものがありました。
AHSを観たことが無い方は是非ご覧ください!
とくに本作の作風が気に入った方は楽しめると思いますよ。
本作が全7話だったというのもよかったと思います。
というのも、ライアン・マーフィーの作品はその特異な作風から熱狂的なファンを持ちますが、同時に苦手な人やハマらない人もいるように、人を分けます。
そうした意味で、全7話という比較的短い話数で済ませたのは、物語に休みを与えず視聴者を逃がさないように上手く作用したように思えます。
そもそもNetflixはビンジ・ウォッチングと呼ばれる全話を一気に配信し、休みなく視聴させる手法を取り入れています。
日本の一気見の意味合いですね。
ビンジ・ウォッチングの影響もあってか、Netflixは比較的話数の少ない短編作品を高頻度で配信している印象です。
そのおかげで本作のような人を選ぶ作品であっても飽きさせずに視聴してもらえると言ったメリットがありそうです。
Netflix自身もライアン・マーフィーには期待を寄せているでしょう。
何故なら、2018年にNetflixはライアン・マーフィーと3億ドルの契約を結んだからです。
つまり日本円で約450億円です。(2022年10月20日現在)
ここまでの契約はあまり聞いたことが無いですよね(笑)
マーフィーがNetflixで制作した【ラチェッド】や【ダーマ―】をみる感じ、この契約は成功だったのではないかと思えます。
これ、前にも観たぞ
ネタバレ感想では高評価に書きましたが、1つどうしても言いたいのが『これ、前にも観たぞ』です。
これまで何度も言っている通り、本作はライアン・マーフィーの過去作と共通した作風が前面に押し出された作品でした。
私は彼の過去作に好きなものが多いので好きでしたが、好き故に引っかかる部分がありました。
それが、ライアン・マーフィーの過去作と似ている部分が多いことです。
特に強く感じたのが【アメリカン・ホラー・ストーリー】第1作目『呪いの館』との共通点です。
今回は呪いの館のレビューではないのでネタバレなど詳しくは書きませんが、簡単なあらすじを書くと
しかしその家には不可解な現象や奇妙な隣人、そして恐ろしい謎が秘められていた。
みたいな感じです。
これは凄い簡単にまとめたものなのですが、これだけでも類似点が多いのが分かると思います。
ネタバレはしませんが、呪いの館を最後まで観るとさらに多くの類似点に気が付くでしょう。
誤解を恐れずに言うと、本作は呪いの館を少しいじった程度だとも言えます。
といってもライアン・マーフィーの作品は共通点が多く、ある程度似てしまうのは仕方ないことだと思います。
しかし、もしこれが今後も続いていった場合、似たような作品ばかりになってしまう可能性もあるので少し心配しています。
逆にこれがマンネリ化を感じさせないストーリーであれば、より好評な作品になると思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回はNetflixで配信中の【ザ・ウォッチャー】のネタバレ感想・考察をお届けしました!
この奇妙な話が実話ベースだということにまず驚き、それを【アメリカン・ホラー・ストーリー】の制作陣が贈るということで期待した本作。
実際に、その奇妙な世界観は全話を通して不安感を与えてくれました(笑)
実は配信が開始する前に、わたしのInstagramでオススメ新作として紹介していました。
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最後までご覧くださりありがとうございました!