こんにちは!シネマトレンドです。
本作はこれまでのDC映画とは一線を画し、ド派手な映像や、ジャスティス・リーグ最年少のフラッシュらしい軽いノリの一面など、楽しめる場面がたくさんありました!
そして本作はなんといっても、新しいキャラクターの登場や、過去作から登場するキャラクターなど、嬉しいサプライズもありました!
じつは本作では過去のキャラクターだけでなく、映像の面でもオマージュがあったのですが気が付きましたか?
今回は、2023年6月16日に公開された映画『ザ・フラッシュ』のネタバレ感想をお届けします!
最年少のジャスティス・リーグ
主人公であるバリー・アレン扮するフラッシュはジャスティス・リーグでも最年少のヒーローです。
本作ではそんな最年少の若者らしいノリというのが、たくさん見られました。
これは本作を楽しめるものにした大きな要因だと思います。
アルフレッドやワンダー・ウーマンとのやり取りからも、ユーモアが感じ取れました。
映画『ジャスティス・リーグ』時点ではヒーローとしての経験もほとんどなく、がむしゃらに動いていた印象でしたが、時が経った本作では動きにも慣れて、より能力を生かした戦い方ができるようになっていて成長を感じました。
映画の冒頭ではジャスティス・リーグのメンバーが街の犯罪を阻止する姿が描かれていましたが、これがとてもよかったです。
同じヒーロー映画のMCUのチームであるアベンジャーズは、街の犯罪というよりも世界の危機を対処することが多かったので、本作はヒーローチームの映画ではないのですが、冒頭で街を守るジャスティス・リーグの姿をみれたのは新鮮でした。
作中では「バタフライエフェクト」の説明がされていました。
これは、小さな違いが未来に大きな影響を与えるという意味です。
登場する2人のバリーの性格の違いはお母さんの事件と、お父さんの投獄が関係しています。
これにより性格の違う2人のバリーが誕生しました。
演じるエズラ・ミラーはこの2人の演じ分けがとてもうまかったです。
私生活では逮捕や暴行でヤバそうなエズラですが、少なくともスクリーンでは2人の異なる同一人物を上手く演じ分けた凄い俳優でした。
外見は一緒でどちらもバリーなのですが、過ごしてきた環境が違うことで異なる性格になったバリーは、まるで別人かと思いました。
ここまで才能のある俳優なだけに、私生活の問題が今後のキャリアに悪影響を与えそうなのが残念です。
2人のフラッシュ
今話した通り、本作には2人のフラッシュが登場します。
この2人のフラッシュを登場させるというのは、本作に良い効果を与えていたと思います。
まずはフラッシュのオリジンです。
本作に登場するフラッシュは能力を得るまでのオリジンが描かれませんでした。
それは本作だけではなく、初登場した映画『ジャスティス・リーグ』でもすでに能力があり、スーツも自作していました。
そんなオリジンを省略されたフラッシュと、まだ能力を得ていないフラッシュを一緒に登場させることで、バディとしてだけでなく、フラッシュのオリジンをみせる役割も果たしていました。
雷雨の日に雷と薬品を浴びてフラッシュになるという誕生の瞬間をメインのバリーではなく、新しいバリーにさせることで描いていました。
そしてここで能力を移したのもよかったです。
若いバリーだけが能力を得ることで、フラッシュの師弟関係ではなく、能力を得たバリーが興奮だけで街を駆けまわるということになっておりバリーが能力を得た当初のリアクションを描いていました。
ここでは服が燃えてしまったり、空腹になるというフラッシュの能力による副作用を視覚的に説明していました。
このように若いバリーが能力を得る過程をあえて描くことで、フラッシュの物語を映画『ジャスティス・リーグ』以前を描くプリクエルにしないでオリジンを描くことができていたので、とてもよかったです。
一方で、現在のバリーは技術の進化がすごく、若いバリーに様々な能力の使い方を教えていました。
例えばゾッド将軍の軍隊との戦闘では竜巻を起こしたり、手から電気を出す方法まで伝授していました。
他にも物体をすり抜けるフェイジング(Phasing)も使いこなしていました。
フラッシュは高速で体を振動させることができます。
このフェイジングはドラマ版にも登場するのですが、ドラマでおなじみの技が映画でも見れたのはとても嬉しかったです。
小ネタの消失
本作ではカロリーメーターが登場します。
本作のフラッシュの能力はカロリーに左右されるという面白いものです。
ベイビーシャワーのシーンでは、カロリーメーターが減ることでスピードが落ちるという欠点も描かれました。
あの演出は好きだったのですが、それ以降、カロリーメーターの存在がなくなっていました。
カロリーメーターの設定がなくなったわけではないと思いますが、明らかにカロリーと能力の因果関係が無視されていたように感じます。
確かに食事をしながらゾッド将軍の軍隊と戦うフラッシュはテンポが悪くなると思いますが、後半の展開にカロリーメーターを持ってくるなら、例えば何度もタイムトラベルしてみんなを救うシーンで、カロリーを消費しすぎてタイムトラベルできなくなるみたいな展開にもできたはずです。
これならフラッシュのカロリー設定を無視せずにまとめることもできます。
カロリーメーターは面白い設定なだけに、後半無視されたのが少し残念です。
こういう小さなネタが、終盤に大きな意味を持ってくるのが好きなので、もっと活かしてほしかったです。
マルチバースという題材
本作は同じマルチバースを扱った映画『スパイダーマン・アクロス・ザ・スパイダーバース』と同じ日に公開されました。
私はどちらも観ましたが、それぞれマルチバースというテーマを扱った作品でありながら、違った視点から描いていました。
6月28日時点ではフラッシュの興行成績は悲惨なことになっています。
マルチバースという題材は一見汎用性の高いもののようだけど、実は扱いにくいものなんじゃないかと思いました。
MCUとDCEUで見ても、直近でマルチバースを扱った作品があります。
しかし、どちらも自分の考えに従って過去や未来を変えようと奮闘して結果的に最悪の事態を引き起こしてしまいます。
例えばノーウェイホームではピーター・パーカーという自分の存在が犠牲になりました。
本作の興味深いところが、変化をあきらめるというところです。
お母さんの事件を防ぐために奮闘するバリーですが、それが変えられないものだと悟ったとき、それをあきらめる選択を取りました。
過去と向き合って未来を進むというメッセージがこの映画にはありました。
一方で気になったのがラストです。
バリーはトマト缶をカゴから取り出してお母さんに別れを告げることで過去とのけじめをつけていました。
しかし、何を思ったかバリーはトマト缶を上の棚に移し替えて、防犯カメラにお父さんの顔が映るようにしていました。
これではバリーが学んだはずの、バタフライエフェクト、つまり過去の小さな違いが未来に大きな変化をもたらすということの深刻さが失われてしまいます。
もしかしたらバリーが学んだのは、変化を加えることの深刻さではなく、過去を受け入れることなのかもしれませんが、それでも本作の原因になったバタフライエフェクトへの理解を台無しにしかねないこの行為は納得できませんでした。
結果的にその行為はバットマンを別人にしてしまいました。
賛否両論のCG
本作はVFXにとても迫力がありました。
フラッシュといえば雷を纏って走る姿が印象的ですが、その映像はとても素晴らしかったです。
フラッシュはドラマ版もありますが、ドラマとは違った演出だったので新鮮な楽しさがありました。
そしてフラッシュのような高速で動くキャラクターをかっこよくする演出といえば、スローモーションがあります。
たとえば、X-menのクイックシルバーも高速で動くキャラクターですが、スローモーションを使うことでとてもかっこよくなっていました。
フラッシュでも冒頭のベビーシャワーのシーンから、結構長めのスローモーションシーンがありました。
高速なキャラクターをあえてスローで見せるこの演出大好きです。
ちなみにこのベイビーシャワーという単語は妊婦さんをお祝いするパーティのことを指します。
こういったところであえてベビーシャワーという言葉を使うのも、フラッシュのユーモアが感じられます。
他にもよかった演出としては、過去に戻るシーンです。
過去にもぼる場面は、ドラマと映画では全く違う演出になっていて驚きました。
映画ではハムスターボールのようなものに包まれて、フラッシュが動くことで過去に遡っていました。
そしてこのシーンでは、フラッシュがハムスターボールの中で走っているときは走る足が逆再生になっています。
これは過去にさかのぼることを表現する面白い演出でした。
この逆再生の足は気が付くと凄い変なのですが、意外になじんでいるのも面白いです。
このように映像演出の面でとても面白かったのですが、本作は公開直後からCGの品質が悪いという意見がみられて、確かにその点は私も思いました。
目立ったのが、キャラクターです。
例えば冒頭のベビーシャワーの場面で落ちてくる赤ちゃんはフェイクベイビーを思わせるような質感で、肌がきれいすぎてプラスチックのようでした。
赤ちゃんの肌がうらやましい一方で、リアル間のない赤ちゃんは確かにCG感がありました。
ちょっと擁護すると、あのシーンはフラッシュが高速で動く世界を再現するために、映像のボケや赤と黄色の強い色彩などがあるので、本当のCGモデルよりもCGに見えてしまうと思いました。
ただ、それでもCGの粗さを否定することにはなりません。
通常のスピードに戻った時の赤ちゃんもアニメーションも含めて違和感がありました。
あそこはフラッシュの映像を楽しむことができるシーンだったので、CGに違和感を持った人が純粋に楽しめなくなってしまうというのは残念でした。
赤ちゃんを電子レンジに入れて、チンした音とともに出てくるというブラックすぎるジョークもありましたしね。
CGの粗が目立ったのは、ベイビーシャワーだけではありませんでした。
それが、フラッシュが過去に戻る場面です。
ハムスターボールのシーンではフラッシュの周りに過去の1場面が360度置かれています。
この置かれているキャラクターの質感も同様にCGっぽさが目立っていました。
そして、物語終盤にカメオ登場したキャラクターもどれもCGっぽさが目立っており、DCEUのイントロに出てくるキャラクターレベルに感じました。
カメオ出演した俳優は、どれも豪華だったのですが、さすがに時代が古すぎるので現代に登場させるにはCGで若返り処理をしなければいけないと思います。
それも相まってCGっぽさが目立っていたのかもしれません。
作中のエフェクトなどはかっこよかっただけに、CGっぽさが目立ったのは惜しいです。
カメオ出演と映像表現
本作は予告の段階からマイケル・キートン版バットマンが登場して話題になりました。
本編ではそれ以上のサプライズがあり、期待を上回ってきました。
本作はマルチバースを扱った作品ということもあり、これまで公開されてきたDCコミックスの実写化作品がどれもマルチバースの物語であると示されたようなものでしょう。
その中にはクリストファー・リーヴ版スーパーマンやヘレン・スレイター版スーパーガールが登場しました。
クリストファー・リーヴはすでに亡くなっており、フルCGで当時を再現したようです。
しかしこれはさっき言った通り、CGっぽさが目立っていました。
それはヘレン・スレイター版スーパーガールも同様です。
驚いたのがニコラス・ケイジ版スーパーマンです。
このスーパーマンは映像化されていないので、知らない方のために簡単に説明すると、マイケル・キートン版バットマンを監督したティム・バートンが、監督する予定で進められていましたが、結局制作されませんでした。
スーパーマンを演じるはずだったニコラスケイジは息子の名前をスーパーマンの本名である「カル=エル」にするほどのコミック好きとしても知られていました。
そんなニコラス・ケイジ版スーパーマンが満を持してスクリーンデビューしたときはさすがに笑ってしまいました。
このニコラス・ケイジも若返り処理がされているようでCGっぽさがありましたが、あのティム・バートン風の独特な世界とは妙にマッチしていました。
そのほかにも眉毛があるバットマンことアダム・ウェスト版バットマンや、ジェイ・ギャリックも登場しました。
ギャリックはドラマ版『フラッシュ』に登場したキャラクターです。
主役のグラント・ガスティン版フラッシュではありませんでしたが、ギャリックが出てくるのは予想外でした。
ただ、ジェイ・ギャリックを演じたテディ・シアーズがインタビューで出演していないと言っているので、これもCGか、ドラマの1場面を流用したものかもしれません。
嬉しいカメオが多かったですが、同時にそのほとんどにCGっぽさが残っていたのが違和感がありました。
そしてこれらのキャラクターは今後、どのようになっていくのでしょうか?
映画のラストでは、ブルース・ウェインがこれまでのベン・アフレックからジョージ・クルーニーに変わっていました。
ジョージ・クルーニーは過去にバットマンを演じています。
これはつまり、別のアースのバットマンに入れ替わったということだと思うので、マルチバースがよりこ複雑になったということかもしれません。
そして、本作ではキャラクター以外にも過去作を参照しているようなところがありました。
それが、映像のオマージュです。
これまでDCEUの作品は多くの監督が製作してきました。
じつは監督にはそれぞれ演出の特徴があります。
そのオマージュともいえるものが作中には登場していました。
例えばマイケル・キートン版バットマンがロシアに向かう場面の雲が怪しく光る夜の空を飛ぶバットウィングは、マイケル・キートン版を製作したティム・バートン監督を感じさせる演出ですし、ゾッド将軍の軍隊とフラッシュ達が戦う場面では、ゾッド将軍が登場する映画『マン・オブ・スティール』を監督したザック・スナイダーらしい「手振れズーム」が再現されていました。
このように過去のキャラクターと過去の演出を持ってきた、これまでのDC作品をまとめた福袋みたいな感じでした。
今後のDCUがどうなっていくのかわかりませんが、これまでの歴史を消さないで良い感じに繋いでいってほしいです。
事件の真犯人
本作では、お父さんの無実が証明された一方で、お母さんを刺した真犯人が判明しないまま終わりました。
ドラマ版を見ていた人ならわかると思いますが、この事件はただの事件ではありません。
そのため、マルチバースがメインの本作で真犯人の判明から決着までを描くと駆け足で中途半端になってしまうと思います。
なので、本作はあくまでマルチバースをメインに扱い、お母さんの事件は続編でしっかり扱ったほうが、より丁寧に描けると思います。
しかし、問題が映画『ザ・フラッシュ』の続編制作されるのか?問題です。
というのもDCスタジオのジェームズ・ガンが、今後公開される映画『スーパーマン:レガシー』からDCユニバース全体をリブートすると言われているからです。
これが本当に行われた場合、フラッシュの続編が望み薄になるだけでなく、次に公開される『アクアマン2』も宙ぶらりんな作品になる可能性があります。
監督を務めたジェームズ・ワンは『アクアマン2』を独立した作品になると言っていることからも、今後のDCUに繫がらない可能性が高いです。
お母さんの事件は、ドラマ版ではバリーが目撃しています。
しかし本作では目撃せずにナイフで刺されていたことを考えると、全く違う展開にする可能性もありそうです。
この事件はバリーに大きくかかわる事件なので、どこかのタイミングで扱ってほしいです。
さいごに
今回は映画『ザ・フラッシュ』のネタバレ感想をお届けしました!
主演のエズラの問題もあり、公開されるかも怪しかった本作ですが、いざ公開されてみるととても楽しめる作品になっていました!
興行成績は良くなく、続編が製作されるかも不安なのが残念です。
DCUは変革期を迎えており、ユニバース全体のリブートが起こるともいわれている中、本作がどのような将来を迎えるのか気になります。
できれば続編を公開してほしいですが、期待はしないほうがよさそうですね。
ということでご覧いただきありがとうございました!