『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ネタバレ感想_有名工場長とウンパ・ルンパの出会い

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ウォンカとチョコレート工場のはじまりのアイキャッチ レビュー

有名なチョコレート工場長がまだ若い日の話。
今回は映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のネタバレ感想お届けします。

【原題】
Wonka
【日本公開】
2023年12月8日
【監督】
ポール・キング
【キャスト】
ティモシー・シャラメ、ケイラ・レーン、マット・ルーカス、サリー・ホーキンス、キーガン=マイケル・キー、ローワン・アトキンソン、ジム・カーター、オリヴィア・コールマン、ヒュー・グラント、ナターシャ・ロスウェル、etc
憧れのグルメ・ガルリアでチョコレート店を開くことを夢見る少年ウィリー・ウォンカは少ないお金とともに街にやってくる。
しかしボッタクリ宿だと知らずに泊まったことで多額の借金を背負ってしまう。
更にチョコレートカルテルがウォンカの夢を邪魔してくる。
ウォンカは宿で出会った仲間やウンパ・ルンパと共にこの危機を乗り越えることができるのか?
ここから先は『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のネタバレを含みます。

夢のような甘い映画

本作は夢を追うことへ希望を持つことと、応援をしてくれるような映画でした。
憧れのグルメ・ガルリアでチョコを売ることを夢見るウィリー・ウォンカが自分の夢を実現させるために努力して夢を追いかける姿は観客に勇気と希望を与えるメッセージになっていたと思います。
実際私もウォンカの諦めない姿勢に感化された部分がありました。
困難にぶち当たってもそこで挫けずに夢を追い続ける姿勢は私も見習いたくなります。
映画全体もミュージカル調で終始楽しげな雰囲気で進行していたので映画館では楽しい時間を過ごすことができました。
そして何より登場したチョコレートがどれも不思議で美味しそうなんですよ。
特に私はキリンのミルクのマカロンが一番おいしそうだと感じました。
ラングドシャっぽい生地がとても美味しそうです。
宙に浮くことができるホバーチョコも楽しそうですけど、お腹の中でアブが生まれるのはちょっと抵抗があります。

ここまで話してきた通り、本作は大人も子供も楽しめる映画としては良かったのですが、時々この楽しい作風にとらわれすぎてチョコレートに例えると甘すぎに感じた部分もあったのが少し気になりました。
ここについては後で詳しく話します。

 

魅力的なキャラクター

本作ではヒュー・グラント演じるウンパ・ルンパが登場しました。
そしてこのウンパ・ルンパがとても良かったです。
物語に深くかかわるキャラクターじゃないのですが、コミカルでありながら、自分のスタイルをしっかり持っていて、この作品にとてもフィットしていました。
特に楽天的なウォンカと、少し嫌味っぽいウンパ・ルンパのコンビは正直本作で一番マッチしていたと思います。
公開前はヒュー・グラント演じるウンパ・ルンパに対して、小人症の俳優などから批判の声がありました。
確かに小人症の人がキャスティングされる役柄は限られている状況で、ウンパ・ルンパのようなこれまで小人症の俳優が演じていたものまで奪われるのは俳優としての危機感を覚えるのもとても分かります。
しかしキャラクター性に限った話では本作のウンパ・ルンパは皮肉屋っぽい感じや、コメディチックな演技などヒュー・グラントだからこそうまく演じられたと思います。
ところで今回のウンパ・ルンパは緑の髪にオレンジの肌が特徴的で、多くの人が思い浮かべるウンパ・ルンパとは違ったと思います。
やはり日本でも有名なのはジョニー・デップ主演で2005年に公開された映画『チャーリーとチョコレート工場』だと思います。
この映画ではディープ・ロイがウンパ・ルンパを演じました。
後ろに尖った髪と赤いスーツが特徴的です。
一方今回のウンパ・ルンパは1971年に公開された映画が基になっています。
この作品は昔の映画なうえに、日本では劇場未公開だったので知らない人も多いと思います。
日本では『夢のチョコレート工場』というタイトルで発売されました。
そして本作を観終わった後も多くの人の耳に残ったであろうウンパ・ルンパの歌も1971年の映画に登場したものです。
本作ではアレンジが加えられていてより豪華になっていましたが、あの独特なリズムが今も頭から離れません。本作にはたくさんの歌が登場しましたが一番印象に残ったのはやっぱりウンパ・ルンパの曲でした。
この曲は時代を超えて今でも魅力を失ってないですね。

そしてウンパ・ルンパの話に戻ると、特に物語の終盤でウォンカとヌードルがチョコレートの海に溺れる場面では、羽を広げて助けに駆けつけるウンパ・ルンパが印象的でした。
あの場面はウンパウンパ・ルンパルンパが来たときの安心感がとても感じられました。
ウンパ・ルンパはウォンカに借りを返してもらうためやってきたのですが、この貸し借りを守るところもいいですね。
宿や船の上での会話や工場についていくところなど、物語の中でウォンカとウンパ・ルンパの友情の発展が描かれていて、そういった部分もとても好きでした。
ところで今回のウンパ・ルンパはヒュー・グラントの顔以外は体も全てCGだったと思うのですが、動きがなめらかすぎた気がして少し違和感を持ちました。

そして本作でウィリー・ウォンカを演じたのはティモシー・シャラメです。
ウンパ・ルンパの衝撃が強すぎたので先に話してしまいましたが、ティモシー演じるウォンカもとても良かったです。
まず何と言ってもめちゃくちゃチャーミングなんです。
本作のウォンカは過去作のようなすごい変わり者ではなく、むしろ夢を追いかける真っ直ぐな好青年というイメージでした。
ティモシーは『君の名前で僕を呼んで』や『DUNE/デューン 砂の惑星』などでにも出演していますがいろんな役を演じ分けられることに改めて驚かされました。
本作にはいくつかミュージカルシーンがありますが、観ている側が楽しめるのはもちろんのこと、ウォンカを演じたティモシー自身も楽しんでいる感じがしてより、楽しくなりました。

 

秘密のレシピ

最初に本作は夢を追うことを勇気づけてくれると話しましたが、ウォンカ一人では夢を成し遂げることはできなかったかもしれません。
その支えには元会計士のアバカスやパイパー、ロッティー、ラリー、そしてヌードルがいました。
中でもヌードルは赤ちゃんの時から宿にいて借金もウォンカの3倍ありました。
ウォンカがぼったくり宿に閉じ込められたときにヌードルに初めてチョコレートを与えるのですがヌードルは一口かじっただけで食べるのをやめちゃいました。
ウォンカがその理由を聞くと、「チョコレートの幸せを知ってしまうとその幸せを忘れられなくなる」と言っていました。
たしかにそうで、幸せ過ぎる瞬間って本当に忘れられなくなることがよくありますよね。
他の平凡な瞬間が物足りなく感じられることもあるし、ヌードルはその状態なんですよ。
実際ヌードルはチョコを食べたことがないくらい自由がない生活をしていました。
もはや全てを諦めたヌードルにとってチョコの幸せというのはある意味残酷なものだったのかもしれませんね。
一方、ウォンカはお母さんのチョコが夢の始まりでした。
これが、夢を追い求めるウォンカと追い求められなくなったヌードルの違いを表していました。
そしてヌードルも夢への一歩を踏み出すきっかけがウォンカと同じチョコレートでした。
ヌードルもまた、ウォンカのチョコが幸せを与えた一人だったのかもしれませんね。
この映画にはチョコレートが幸せや夢といった意味合いを持っていると感じていたので、そこが良かったと思いました。

 

足りない苦さ

ここまで話した通り本作はとても楽しめて、かつ夢を追う希望を与えてくれる良い映画だったと思いました。
一方で、私には少し甘すぎる部分も感じました。
私は本作からもう少し危機感やダークな部分がほしかったです。
本作は全体的にウォンカの夢を邪魔する障害が出たときにそれを比較的簡単に解決してしまっていました。
とは言ってもウォンカがチョコを売れなくなったときに、街でこっそり売るのは警察の目をかいくぐりながら街全体をウォンカのチョコで虜にしていく作戦がうまくて好きでした。
ただ本作はほとんどすべての障害をこのように簡単に突破していました。
こういった部分はもう少し深い試行錯誤を見たかったです。
本作はウォンカが困難な状況から夢を叶えるまでの過程を描いていて、私は本作で夢への希望を感じたので、ウォンカが困難にぶつかった時に、その困難をどう乗り越えるか試行錯誤する姿をもう少し見たかったです。
有名な工場長のウォンカが若い日であることを考えると、彼の人間性をもう少し見たかったです。
夢を追いかける時には必ず困難にぶつかると思うので、そのような状況でウォンカがどう対処し、切り抜けるのか、魔法のチョコレートやキリンの突撃なども面白いですが、人間らしい思考錯誤や作戦会議をもう少し見られたら、夢を追い求める映画としてより身近なリアルさを感じられたのかなと思いました。
そして暗い面で言えば、例えば有名な2005年の『チャーリーとチョコレート工場』を例に出すと、変わり者の工場長のウィリーウォンカという一面を持ちながらも、家族の問題を抱えた暗い面も描かれていました。
あの映画はティム・バートンの特徴がより奇妙な場面を強調していたと思いますが、本作では過去作でみられた暗いビターな物語がなかったので少し物足りなかったです。
最後まで甘いチョコレートが続いたので、私は少しダークさも味わいたかったです。

 

さいごに

今回は映画『ウォンカとチョコレート工場の始まり』のネタバレ感想をお届けしました。
有名な工場長の若き日を描いた本作は、常に前向きなウォンカの姿が観られて夢への希望と諦めないことの大切さを再確認させてくれる良い映画でした。
ティモシー・シャラメ演じるウォンカやヒュー・グラント演じるウンパ・ルンパもとても魅力的で大好きになりました。

最後までご覧下さりありがとうございました。